全35条
2014年6月1日より有効
第1条:適用範囲
1. 太平洋国際商事仲裁センター仲裁規則(以下、「規則」と称する)は、同センターにおける紛争解決のために適用します。
2. 本規則は、当事者間で特に別段の合意がない限り、2014年6月1日より始まる仲裁する紛争を解決するため適用されます。
第2条:用語の解釈
本規則では、次の用語は次のように解釈されます。
1. 「センター」とは、太平洋国際商事仲裁センターのことです。
2. 「仲裁人リスト」とは、センターの仲裁人のリストのことです。
3. 「仲裁廷」は仲裁人3名もしくは単独で構成されます。
4. 「原告」は1名以上で構成され、一方「被告」も1名以上で構成されます。
第3条:通知書・資料の送付、期限算出方法
1. 一方の当事者がセンターに送る通知書・資料は、センターが仲裁廷各メンバーに1部ずつ、そして相手方当事者に1部送付し、またさらに1部保管できるよう十分な部数を用意しなければなりません。
2. 通知書・資料はセンターから各当事者が提供した宛先に送付し、直接手渡し、保証状、電子メール、FAX、または送付を記録できるその他の方法で送付してもよいです。
3. 各当事者に送付済の通知書・資料が本条第2項に該当する場合、センターが各当事者に送付する通知書・資料は各当事者が受領日に受領したとみなされるか、または送付日に受領したとみなされます。
4. 本規則で定める期限は、本条第3項における規定に基づき通知書、書類が受領されたとみなされた日の翌日から起算します。受領場所における規定に基づき翌日が営業日でない場合、本期限はその後の営業開始日から起算します。期限の最終日が受領場所における規定に基づき営業日でない場合、本期限は次の営業開始日の終業時間に終了するものとします。期限内の営業日ではない日は期限として数えられます。
第4条:仲裁参加
1. 当事者は、仲裁手続に参加する代表者を直接または書面で委任することで承認できます。
2. 仲裁廷が設置されていない場合、仲裁廷またはセンターは当事者に仲裁に参加する代表者の権限に関する証拠を提供するよう要請できます。
第5条:仲裁の開始
仲裁はセンターが本規則第6条第2項における規定に基づき原告の告訴状を受領した日より始まります。
第6条. 告訴状
1. 一方の当事者がセンターに告訴したい場合、センターに告訴状を提出します。
2. 告訴状は以下の内容から構成されます。
a) 告訴状作成年月日
b) 各当事者の名前及び住所
c) 紛争内容の要旨
d) 告訴の根拠
e) 訴額及び原告のその他申出
f) 原告が仲裁人として選定した者の氏名または本規則の第11条第1項または第12条で規定する仲裁人の指名をセンターに依頼した者の氏名。
g) 原告が組織である場合、法定代理人または権限を有する代理人の署名。原告が個人である場合には、個人または権限を有する代理人の署名。
3. 告訴状の添付資料には仲裁合意書とその他関連資料がなければならない。
4. 告訴状、仲裁合意書、その他関連資料は本規則第3条第1項で規定する十分な部数を送付しなければならない。
第7条. 通知書及び告訴状の送付
期限に関して別段の合意がない限り、告訴状、仲裁合意書、その他関連資料及び本規則第33条において定められた仲裁費用の受領日より10日以内にセンターは被告に通知書、告訴状、仲裁合意書及びその他関連資料を送付します。
第8条. 自己弁護文書及びその送付
1. 当事者間による別段の合意がない限り、告訴状、仲裁合意書、その他関連資料の受領日より30日以内に被告は自己弁護文書を送付します。自己弁護文書は以下から構成されます。
a. 自己弁護文書作成年月日
b. 被告の名前及び住所
c. 自己防衛の根拠
d. 被告が仲裁人として選定した者の氏名または本規則の第11条第2項または第12条で規定するセンターに依頼して指名した者の氏名。
e. 被告が組織である場合、法定代理人または権限を有する代理人の署名。被告が個人である場合には、個人または権限を有する代理人の署名。
被告が仲裁合意がない、仲裁合意が無効である、または仲裁合意が実現不能であると判断した場合、被告はそれを自己弁護文書に記載しなければなりません。この場合、被告は、本規則の第11条第2項または第12条の規定に基づき仲裁人を選定するか、センターに仲裁人を指名するよう依頼することが依然として必要です。
被告の申し出により、センターは自己弁護文書の提出期限を延長することができます。延長の申出は書面で行われ、上記の30日以内にセンターに送付しなければなりません。この場合、被告は本規則の第11条第2項または第12条における規定に基づき仲裁人を選定するか、センターに仲裁人を指名するよう依頼することが依然として必要です。
2. 自己弁護文書および関連資料は、本規則第3条第1項に従い十分な部数を提出されなければなりません。
3. 被告が自己弁護文書を送付しない場合、仲裁手続は引き続き進行されます。
第9条.反訴状
1. 被告は、原告を訴える権利を有する。反訴は原告が被告を訴えた仲裁合意に基づいていなければ成りません。反訴状は、自己弁護文書と同時にセンターに送らなければなりません。
2. 反訴状は次の内容から構成されます。
a. 反訴状作成年月日
b. 各当事者の名前及び住所
c. 反訴内容の要旨
d. 反訴の根拠
e. 訴額及び被告のその他申出
f. 被告が組織である場合、法定代理人または権限を有する代理人の署名。被告が個人である場合には、個人または権限を有する代理人の署名。
3. 反訴状および関連資料は、本規則第3条第1項に則り十分な部数を提出しなければなりません。
4. 当事者間の別段の合意がない限り、本規則第33条に定めた反訴状、関連資料及び仲裁費用の受領日から10日以内に、センターは原告に通知書、反訴状および関連資料を送付します。
5. 当事者間での別段の合意がない限り、通知書、反訴状及び関連資料を受領した日から30日以内に、原告は本規則第3条第1項に定めた部数の反訴状に対する自己弁護文書をセンターに送付しなければなりません。
6. 反訴状は、原告の告訴を解決する仲裁廷が同時に処理するものとします。
第10条. 仲裁人の人数
1. 紛争は仲裁人3名または単独の仲裁人から成る仲裁廷が解決します。
2. 各当事者が単独の仲裁人によって解決される紛争に合意しない場合、紛争は仲裁人3名で構成される仲裁裁判所が解決します。
第11条. 仲裁人3名から成る仲裁廷の設置
1. 原告は仲裁人1名を選択するか、センターに指名するよう依頼しなければなりません。原告が複数いる場合、各々の原告は仲裁人1名の選定に同意するか、またはセンターに仲裁人1名を指名するよう依頼することに同意し、センターに通知する必要があります。仲裁人として選定された者の名前が仲裁人リストに載っていない場合、原告はセンターに当該仲裁人の住所を通知しなければなりません。原告がセンターに仲裁人を指名するよう依頼場合は、かかる依頼の受理日から7日以内に、センター所長は原告の代わりに仲裁人を指名する決定が出ます。
2. 当事者間の別段の合意がない限り被告人は仲裁人1名を選定するか、または仲裁人1名を指名するようセンターに依頼し、告知書、仲裁合意書及びその他の関連書類を受領してから30日以内にセンターに通知しなければならない。
被告が複数いる場合、各々の被告は仲裁人1名の選定に同意するか、またはセンターに仲裁人1名を指名するよう要求することに同意し、センターに通知する必要がある。仲裁人として選定された者の名前が仲裁人リストに載っていない場合、被告はセンターに当該仲裁人の住所を通知しなければなりません。
被告がセンターに仲裁人を指名するよう依頼した場合は、かかる依頼の受理日から7日以内に、センター所長は原告の代わりに仲裁人を指名する決定を出します。
被告が上記30日以内に仲裁人を選んだり、仲裁人を指名するよう依頼しなかった場合、期限終了から7日以内にセンター所長は被告の代わりに仲裁人を指名する決定を行ないます。
被告が複数いる場合で、さらに上記30日以内に各々の被告が仲裁人の選定に同意しない、または仲裁人を指名するよう依頼をすることに同意しない場合は、期限終了後7日以内にセンター所長は被告の代わりに仲裁人を任命する決定を出ます。
3. 当事者の別段の合意がない限り、仲裁人は被告人が選定した日、またはセンター所長から仲裁人として選定もしくは指名された通知を受領した日から15日以内に、仲裁人は第3の仲裁人を仲裁廷の議長として選出し、センターに通知します。当該期間が終了してもセンターに仲裁廷議長の選出に関する通知を受領できない場合、期限終了日から7日以内にセンター所長は、仲裁廷議長を指名する決定を出します。
4. 本条第1項、第2項、第3項および本規則第12条に定められた決定を行う場合、センター所長は当事者間での合意及び本規則に則り仲裁人に必要な基準を検討するものとします。センター所長はまた指名した仲裁人が紛争を効果的に解決するのに十分な時間があるかどうかを検討します。
第12条. 単独の仲裁人から成る仲裁廷の設置
当事者間で別段の合意がない限り、被告が通知書、告訴状、仲裁合意およびその他の関連書類の受領日から30日以内に、各当事者は単独の仲裁人の選定に同意するか、もしくはセンターに単独の仲裁人を指名するよう依頼することに同意し、センターに通知しなければなりません。
単独の仲裁人として選定された者の名前が仲裁人リストに載っていない場合、当事者はセンターに当該仲裁人の住所を通知しなければなりません。
センターが本通知書を受領できない場合、上記30日の期間終了から7日以内にセンター所長は単独の仲裁人を指名する決定を出します。
第13条. 告訴状・反訴状の取り下げ、告訴状・反訴状・自己弁護文書の修正・追加
1. 仲裁廷が仲裁判断を下す前に、当事者は告訴状及び反訴状を取り下げる権利を有します。
2. 当事者は上告審終了前に告訴状・反訴状・自己防衛陳述書を修正または追加することができます。本修正・追加は本規則の第3条第1項に規定する部数の書面で行わなければなりません。仲裁廷は、かかる修正・追加を乱用して、困難の発生や仲裁判断の遅延、もしくは紛争に適用する仲裁合意範囲の超過を企てていると判断した場合、本修正・補足の承認を拒否できます。
第14条 - 仲裁人に対する一般規定
1. 仲裁人としての選出または指名の通知を受領した場合、仲裁人として選出または指名された者は自身の公平性、独立性および客観性に疑いのある事実をセンターに適時通知しなければなりません。仲裁人はいかなる当事者の弁護士としても行動してはなりません。
2. 仲裁手続中に、仲裁人はいかなる当事者にも個人的に会ったりや連絡したりしてはなりません。どの当事者も紛争に関連する問題を相談するために仲裁人と個人的に会ったり連絡したりしてはなりません。
3. 当事者が仲裁人の具体的な基準に関する合意に達した場合、仲裁人は基準を満たしているものとみなされます。但し、選出または指名された仲裁人に関する通知を受領してから15日以内に一方の当事者が当事者の合意基準を仲裁人が満たしていないという理由で仲裁人の変更を申し出る場合を除きます。この場合、仲裁人の変更は本規則第15条に従うものとします。
第15条. 仲裁人の変更
1. 仲裁人が紛争解決を拒否した場合、当事者は以下の場合においてのみ紛争解決の仲裁人の変更を申し出できます。
a) 仲裁人が当事者の親類または代表者である場合。
b) 仲裁人に紛争に関係する利害関係がある場合。
c) 仲裁人が過去にセンターで解決するよう提示された紛争における任意の当事者の和解人・代理人・弁護士であった場合。ただし、当事者間で書面での合意に達した場合を除きます。
d) 明確な根拠を以て、仲裁人が公平ではない、もしくは客観的ではないと判断した場合。
đ) 仲裁人が当事者間で合意した特定の基準を満たしていない場合。
2. 仲裁人の紛争解決拒否書及び当事者の仲裁人変更要求書はセンターに送付する必要があります。仲裁廷が未設置の場合、仲裁人の変更はセンター所長が決定する。仲裁廷が設置され仲裁人の拒否または変更を要請された場合、仲裁人の変更は残りの仲裁廷のメンバーが決定します。仲裁廷の残りのメンバーが決定できない場合、センター所長が決定するものとします。その他の場合、仲裁人の変更はセンター所長が決定します。仲裁廷が単独の仲裁人で構成されている場合は、かかる仲裁人の変更はセンター所長が決定します。仲裁廷の残りのメンバーの決定またはセンター所長の決定はその根拠を見せない可能性があります。これは最終決定となります。
3. 仲裁廷の残りのメンバーまたはセンター所長が仲裁人の変更を決定した場合、代わりの仲裁人を本規則の第11条または第12条の規定に従って選出または指名します。当事者は変更された仲裁人を選択できず、センター所長は変更された仲裁人を指名できません。残りの仲裁廷のメンバーまたはセンター所長が仲裁人を変更しないことを決定した場合、仲裁人が紛争を引き続き解決しなければなりません。
4. センターまたは仲裁廷は仲裁人の変更費用を決定し、かかる費用を負担する当事者を決定できます。
5. 仲裁人が死亡した場合、または紛争の解決に引き続き参加することが不可能な不可抗力の出来事または客観的な障害のために代替仲裁人の選択または指定を行う場合、本規則の第11条または第12条における規定に準じます。
6. 当事者との協議の後、新たに設置する仲裁廷において以前の仲裁廷の仲裁審理で提起された問題を再検討できます。
第16条. 事実を検証する仲裁廷の権限
仲裁廷は紛争に関連する問題を明らかにするために、適切な方法で一方当事者との面会もしくは協議を相手方当事者の参加の下で行うことができます。仲裁廷は自ら進んでまたは一方当事者または各当事者の申し出により、各当事者の出席の下または各当事者に通知後、第三者から事実調査を行うことができます。
第17条. 仲裁廷の証拠収集権限
1. 仲裁廷は各当事者に対し証拠の提出を求めることができます。当事者は証拠を提供する義務があります。
2. 仲裁廷は一方当事者または各当事者の申し出により、紛争に関連する情報及び資料を提供するよう証人に要請できます。
3. 仲裁廷は、自ら進んで、または一方当事者もしくは各当事者の申し出により、紛争における資産の鑑定および評価を求める権利を有します。資産の鑑定及び評価の費用は、申し出た当事者が支払うか、仲裁廷が割り振ります。いかなる場合においても、資産の鑑定・評価費用を全額支払えない場合、仲裁廷は既存の書類に基づいて紛争を解決します。
4.仲裁廷は自ら進んでまたは一方当事者もしくは各当事者の申し出に応じて専門家に助言を求める権利を有します。仲裁廷は各当事者に関連情報を専門家に提供するよう要請したり、もしくは専門家が関連資料・製品・資産を利用するのを許可する権利を有します。専門家は、仲裁裁判所に書面による報告書を提出しなければなりません。報告書の受領後、仲裁廷はかかる報告書の写しを当事者に送付し、各当事者に報告書に書面での意見を求めます。専門家の助言にかかる費用は申し出た当事者が負担するか、または仲裁廷が割り振ります。いかなる場合においても、専門家への費用が全額支払われない場合、仲裁廷は、既存の書類に基づいて紛争を解決することにします。
5. 仲裁廷または一方の当事者もしくは各当事者が証拠を収集するために必要な措置を講じたが、依然として証拠を収集することができない場合、法律の規定に従い管轄裁判所に援助してもらうよう書面による請願書を送ることができます。
第18条. 仲裁廷の証人招集能力
1. 一方当事者または各当事者の申し出に応じて必要であると認めた場合は、仲裁廷は紛争解決会議に出席している証人を招集する権利を有します。証人の費用は、証人の招集を申し出た当事者が負担するか、または仲裁廷が割り振ります。
2. 仲裁廷が証人を適法に招集したのにも関わらず正当な理由なしに仲裁審理を欠席し、紛争の解決に困難が生じた場合、仲裁廷は管轄裁判所に仲裁審理の証人を招集する決定を出すよう書面で請願書を送付します。かかる請願書には解決に向かっている紛争内容、証人の氏名・住所、証人の招集理由、証人に出席が求められている日時・開催地を明記すること。
3.証人を適法に招集したが不在の場合、仲裁廷仲裁審理を延期するか、または既存の書類に基づいて紛争解決会議を続行することを決定します。
第19条.仲裁廷による緊急暫定措置の執行権限
1.一方の当事者の申し出により、仲裁廷は紛争当事者に緊急暫定措置1つ以上を講じることができます。緊急暫定措置には、
a) 紛争中にある財産の現状の変更禁止
b) 仲裁に不利となる行為を防止するため、任意の紛争当事者による1つ以上の特定の行為を実施することの禁止または強制。
c) 紛争中の財産の差し押さえ。
d) 一方当事者または各当事者の財産の保存・保管・販売・処分を行う要請。
đ) 当事者間の支払いの一時的な請求。
e) 紛争中にある財産に対する財産権の委譲の禁止。
2.緊急暫定措置の適用・変更・追加または適用解除の順序および手続は関連法の規定に基づき実施します。仲裁手続中に、一方の当事者が本条第1項に規定した緊急暫定措置を1つ以上適用するように裁判所に請求した後、仲裁廷に緊急暫定措置を講じるよう請願書を書面で提出した場合、仲裁廷は却下しなければなりません。緊急暫定措置の適用を裁判所に請求する当事者は、直ちにこの請求をセンターに通知しなければなりません。
3.緊急暫定措置実施に関する裁判所への請求を仲裁合意の放棄または仲裁による紛争解決権の拒絶とはみなしません。
第20条. 仲裁地
1.仲裁地は当事者間で合意するものとします。合意に達しない場合、仲裁廷は適切であると判断する仲裁地を決定します。
2.当事者間で別段の合意がない限り、仲裁廷は適切だと判断した任意の開催地にて仲裁審理を開催できます。仲裁廷は、適切であると判断した方法かつ任意の開催地で審理を開催できます。
第21条. 仲裁言語
1. 外国が関与しない紛争の場合、仲裁言語はベトナム語とします。
2.外国が関与する紛争や少なくとも一方の当事者が外資系企業である紛争に関しては、仲裁の言語は当事者間で合意されます。当事者が合意に達しない場合、仲裁廷は契約における言語等の関連する要因を考慮に入れて、仲裁において使用する言語を決定します。
3. 書類を仲裁言語以外の言語で作成した場合、仲裁廷またはセンターは、仲裁廷が設置されていない場合であれば、一方当事者または各当事者に翻訳版を提供するよう要請できます。
第22条. 紛争の解決における準拠法
1. 外国が関与しない紛争の場合、仲裁廷はベトナム法に準拠します。
2. 外国が関与する紛争の場合、仲裁廷は当事者間で合意した法律に準拠します。当事者が準拠法に合意しない場合、仲裁廷は、最も適切であると判断した法律に準拠することを決定します。
3. ベトナム法または当事者間で合意した法律または仲裁廷が適用する法律に紛争の内容に関する特定の条項が含まれていない場合、仲裁廷は紛争を解決するため適切な慣習を適用します。
第23条. 仲裁審理
1. 仲裁審理の時期および開催地は当事者間の別段の合意がない限り、仲裁廷が決定します。
2. 仲裁審理招集状は、当事者間の別段の合意がない限り、審理開始の遅くとも15日前までにセンターが当事者に送付します。審理が延期された場合、または仲裁廷が次の審理の開催を決定する場合、招集状の送付期限は当事者間で別段の合意がない限り、仲裁廷が決定します。
3.仲裁審理は当事者間の別段の合意がない限り、非公開とします。当事者は証人や正当な権利と利益の庇護者を招待し紛争解決審議に出席させることができるが、その際は仲裁審理の開催日前に仲裁廷に通知しなければなりません。仲裁廷は自らの裁量でまたは一方の当事者の申し出により、本規則第17条に規定した資産の鑑定・評価を行う組織や個人および専門家を招聘して仲裁審理に参加させることができます。当事者間で合意した場合、仲裁廷はその他の者の仲裁審理への出席を許可することができます。
4. 仲裁審理において、提供する任意の関連資料または証拠がなくなったことが判明した場合、仲裁廷は、仲裁審理が最終審理であることを宣言します。仲裁廷は紛争の最終審理終了後、追加のいかなる資料または証拠も審査する義務を負いません。
第24条. 仲裁審理の延期
1. 正当な理由がある場合、一方の当事者は仲裁審理を延期するよう仲裁廷に申し出ることができる。仲裁審理延期の申出は書面で行い、理由を明示し、証拠を添付してセンターに送付しなければなりません。仲裁審理開催前の少なくとも7営業日前にセンターが延期の申出を受領できない場合、申し出た当事者は発生した費用全額を負担します。
仲裁廷は延期の申し出及び延期期限を承認するか否かを決定し、当事者に通知します。
2.必要に応じて、仲裁廷は仲裁審理を延期し当事者に通知してもよいです。
第25条. 当事者の欠席
1. 原告は仲裁審理に適法に招集されたが、正当な理由なしに欠席したか、または仲裁廷の承認なしに仲裁審理から退出した場合、告訴状を取り下げたものとみなされます。この場合、仲裁廷は、被告が申し出た場合または反訴を申し立てた場合にのみ、引き続き紛争解決を行ないます。被告は仲裁審理に適法に招集されたが、正当な理由なしに欠席したか、または仲裁廷の承認なしに仲裁審理から退出した場合、既存の証拠資料に基づき紛争解決を引き続き行ないます。
2.反訴を申し立てる場合に、被告が仲裁審理に適法に招集されたが、正当な理由なしに欠席したか、または仲裁廷の承認なしに仲裁審理から退出した場合、仲裁裁判所が承認した場合は、反訴状を取り下げたものと見なします。この場合、仲裁廷は原告の申し出があった場合のみ引き続き反訴状を処理します。
3. 当事者の申し出に応じて、仲裁廷は既存の資料及び証拠に基づき、当事者不在で仲裁審理を実施することができます。
4. 仲裁廷は、一方当事者の不在の申し出がある際、仲裁審理を実施できます。
第26条. 仲裁廷の管轄権
1. 仲裁廷は、仲裁合意の有無または有効性に異議を申し立てるか否かにかかわらず、自らの管轄権を決定する権限を有するものとします。したがって、契約の一部である仲裁条項は契約のその他の条項と独立した合意であるとみなします。仲裁廷は無効である契約書により合意が失効しないことを決定します。
2. 仲裁廷は紛争の内容を検討する前に、一方当事者が訴えを申し立てているか否かに関わらず仲裁合意の有無、仲裁合意の効力、仲裁合意の履行可否および自身の管轄権を審査します。
有効な仲裁合意があり尚且つ履行可能であると仲裁廷が判断した場合、仲裁廷は引き続き紛争を解決します。仲裁合意がないまたは無効、または仲裁合意が履行不能であると判断した場合、紛争解決を中止する決定を出します。
3. 仲裁廷の権限を超えていると判明した場合、当事者は仲裁廷に訴えを提起できます。仲裁廷は検討し、決定する必要があります。
第27条. 和解
当事者の申し出に応じて仲裁廷は和解を行う。和解成立議事録は、和解成立の場合作成されます。和解成立議事録には当事者及び仲裁人3名または単独の仲裁人の署名が必要です。この場合、仲裁廷は和解成立を承認する決定を出します。仲裁廷の和解承認決定は仲裁判断と同様に効力を有します。
第28条. 紛争解決の中止
1. 紛争は、以下の場合に中断する。
a)原告または被告が権利や義務を継承できずに死亡した個人である場合。原告または被告が組織の権利と義務を引き受ける組織を持たずに業務の停止や破産、解散、吸収、合併、また組織形態の分裂、分割、変形をした組織である場合。
b)被告が反訴を申し立てる場合を除き、原告が告訴状を取り下げる場合。
c)被告が紛争の継続を申し立てる場合を除き、原告が本規則第25条第1項における規定に基づき告訴状を取り下げたと見なされる場合。
d)当事者が紛争解決の解消に合意した場合。
đ)本規則第26条第2項において規定する仲裁廷の決定がある場合。
e)法律に基づいた裁判所の決定がある場合。
2. 仲裁廷が紛争の解決を中止する決定を出します。仲裁廷が設置されていない場合、センター所長が紛争の解決を中止する決定を出します。
第29条. 仲裁判断原則
仲裁廷が仲裁人3名で構成される場合、仲裁判断は多数決の原理で行われる。過半数に達しない場合、仲裁判断は仲裁廷の議長が決定されます。
第30条. 仲裁判断
1. 仲裁判断は書面で作成され、以下の主要な内容が含まれます。
a)仲裁判断の開催年月日と開催地
b)原告と被告の名前と住所
c)仲裁人3名または単独の仲裁人の名前
d)告訴状と紛争の概要;反訴状と紛争の概要(反訴する場合)
đ)仲裁判断の根拠(但し合意した当事者同士が仲裁判断を挙げる必要がない場合を除く)
e)紛争解決の結果
g)仲裁判断の執行期限
h)仲裁費用およびその他の関連費用の割り振り
i)仲裁人3名もしくは単独の仲裁人の署名
2. 仲裁人が仲裁判断に署名しなかった場合、仲裁廷の議長はこれを仲裁判断に記録し、その理由を明確に述べなければならない。この場合、仲裁判断はまだ有効です。
3.仲裁判断は紛争解決最終審理終了後30日以内に行わなければなりません。
4. 仲裁判断は、作成後すぐに仲裁廷がセンターに公証された写しを送付します。センターは直ちに、仲裁判断の原本または証明写しを送るものとします。各当事者はセンターに仲裁判断の写しを発行するよう申し出ることができ、センターの規則に従い費用を支払わなければなりません。
5. 仲裁判断は終審判決とし、各当事者を拘束します。
第31条. 仲裁判断の訂正と説明、追加仲裁判断の作成
1.仲裁判断受領日から30日以内に、当事者間で期限に関して別段の合意がない限り、一方当事者は誤字、印刷ミス、誤植、その他類似の誤り、また仲裁判断における混同によるデータの誤りもしくは誤算によるデータの誤りを訂正するように仲裁艇に申し出ることができ、直ちに相手方当事者に通知する必要があります。仲裁廷が申出を正当とみなし、かかる申出が相手方当事者に通知済みであるという証拠がある場合、申出の受領から30日以内に訂正の決定書を作成しなければなりません。
2. 仲裁判断の作成日から30日以内に、仲裁廷は自らの裁量で上記の誤りを訂正し、訂正の決定書を作成できます。
3. 仲裁判断の受領日から30日以内に、当事者間で期限に関する別段の合意がない限り、一方当事者は仲裁廷に仲裁判断を説明するよう申し出ることができ、直ちに相手方当事者に通知する必要があります。仲裁廷が申出を正当とみなし、かかる申出が相手方当事者に通知済みであるという証拠がある場合、申出の受領後30日以内に書面による説明の決定書を作成しなければなりません。
4. 仲裁判断の受領日から30日以内に、当事者間で期限に関する別段の合意がない限り、一方当事者は仲裁判断に記載されていないが仲裁中に供述した申出に対する追加仲裁判断を仲裁廷に申し出ることができ、直ちに相手方当事者通知する必要があります。仲裁廷が申出を正当とみなし、かかる申し出が相手方当事者に通知済みであるという証拠がある場合、申出の受領から30日以内に追加仲裁判断の決定書を作成しなければなりません。
5. 必要に応じて、仲裁廷は本条第1項、第3項、及び第4項の規定に従って、仲裁判断の訂正・説明、追加仲裁判断の作成を延長できます。
6. 訂正の決定、説明の決定、または追加仲裁判断の決定は仲裁判断の一部です。
7. 仲裁判断の訂正・説明及び追加仲裁判断の作成、本規則第29条第2項及び第30条第4項で規定した原理・規定に従わなければなりません。
第32条. 仲裁費用
仲裁費用は以下の費用から構成されます。
1.紛争解決を行う仲裁人への報酬の支払いのための費用
2.紛争解決に関連するセンターの運営管理費
3. 経費の見積もり作成時に効力を有するセンターの指導文書に定めた紛争を解決するための仲裁人の移動費、宿泊費およびその他の関連費用
4.仲裁廷の要請に基づく、資産の鑑定・評価費用、専門家のコンサルティング費用およびその他のサポート費用。
第33条 - 仲裁費用の支払い
1. 告訴状を提出する際に、当事者間の別段の合意がない限り、原告は告訴状提出時に効力を有する本規則第32条第1項および第2項に定める費用全額をセンターの仲裁料金表に則り支払うものとします。原告がセンターが設定した期限内にかかる費用全額を支払わなかった場合、告訴状を再提出する権利を侵害せずに告訴を取り下げたものとみなします。
2. 反訴状を申し立てる場合、当事者間の別段の合意がない限り、被告は反訴状提出時に効力を有する本規則第32条第1項および第2項に定める費用全額をセンターの仲裁料金表に則り支払うものとします。被告がセンターが設定した期限内にかかる費用全額を支払わなかった場合、反訴を取り下げたものとみなします。
3. 本規則第32条第3項及び第4項に挙げた費用は、仲裁廷の設置後に仮払いする。センターは仲裁廷の意見を参考にして見積りを行い、一方当事者もしくは各当事者にかかる費用を仮払いするよう請求することを決定し、各当事者に通知します。センターからの通知の受領日から15日以内に、当事者間で別段の合意がない限り、要請された当事者はかかる費用全額を仮払いしなければなりません。かかる費用を十分に仮払いできない場合、センターは紛争解決を一時中断するよう仲裁廷に求めることができます。この場合、一方当事者は仲裁手続を続行するため、センターの要請により相手方当事者の代わりに仮払いすることができます。かかる費用を十分に仮払いできない場合、仲裁廷は紛争解決を一時中断できます。
4.本規則の第32条第3項および第4項に挙げた費用は仲裁廷が仲裁判断を作成する前に、センターが計算し当事者および仲裁廷に通知します。仮払金が実際の費用よりも高い場合、センターは残高を仮払いした当事者に払い戻します。実際の費用が仮払金よりも高い場合、当事者は追加でセンターに費用を支払う必要があります。
第34条 - 仲裁費用その他の費用の決定
1. 仲裁廷は当事者間の別段の合意がない限り、仲裁費用を割り振ります。
2. 仲裁廷は一方の当事者が相手方の法的費用またはその他の費用の一部または全額を支払わなければならないと決定する権利を有します。
第35条. 最終条項
1.センターは自ら紛争解決を行わないます。紛争解決は仲裁艇が実施します。
2.センター所長が欠席した場合、センターの副所長は本規則で定めたセンター所長の権限の範囲内で決定を出すことができます。
3.センターは、本規則で規定したセンターの業務を遂行するようセンターの支局に委任することができます。
4.各当事者は、センターまたは仲裁廷の同意を条件として、本規則において規定したセンターまたは仲裁廷に関連する期限変更に合意できます。
5. 一方の当事者の仲裁法、本規則または仲裁合意の規定違反が判明したが、仲裁に引き続き参加し、本規則が定める期限に異議を申し立てない場合、当事者はかかる違反に対して反対する権利を失効します。
6.本規則に含まれない問題については、センターおよび仲裁廷は本規則の精神の下で行動し、紛争を公正かつ効果的に解決するよう努めなければなりません。